小学校高学年の子どもにおすすめの絵本紹介
このブログをご覧になっているということは、前回の、賢い子に育てる「最高の読み聞かせ~初級編~」をすでにお読みいただいていることかと思います。
その中で、「これって低学年の話でしょ。うちの子、小学6年生だからあんまり意味ないよね……」と思った方、諦める必要はないのです。今回は、それをお伝えしていきたいと思います。
さて、読み聞かせをする目的を問うアンケート調査をした結果があります。
親子のコミュニケーションを図るため
情操教育のため(共感力など)
本好きになってもらうため
活字になれるため
言語教育のため
ほかにも、寝かしつけのため、という現実的な目的もありますが、多くは上記の5つを目的に読み聞かせを行っています。事実、絵本の読み聞かせはこの5つに非常に大きな効果を発揮します。
しかし、こと⑤言語教育、特に社会を生き抜くために大切なスキルである「自分で考える力」や「文章や会話を理解する力」「意見を言う力」などを伸ばすことには向いていないのです。
そこで、初級編でもお伝えした、⑤言語教育にフォーカスしている読み聞かせである「ダイアロジックリーディング」の出番となります。
前述した、
「どう思う?」「なぜそう思う?」
この2つの問いは、多くすればするほど、そして幼少期であればあるほどされる側(子ども)の言語脳に大きな思考の筋道を作ります。これを積み重ねた子どもは、思考回路の中に必ずこの2つの問いを潜在的に存在させることになります。
この思考回路は、算数や数学を解く上でも必要です。世間一般では逆だと思われていますが、実は
算数や数学が本当に得意な子どもは、例外なく国語も得意なのです。
それは、言語脳をきちんと活用して数字や文章を捉えているからなのです。
中学受験指導において、これを取り入れた授業を展開する学習塾があります。言わずと知れた、関東最高峰学習塾「SAPIX」です。
最難関私立中学合格者数の圧倒的なシェアを誇る塾です。
SAPIXが行うこのメソッドは、たとえ小学6年生であったとしても、思考の発育に大きな効果をもたらします。
なぜなら、習った現象や数式もすべて原理原則に戻って考えることで、思考に奥行きが出るためです。
もちろん、「意見を言う力」つまり表現力と言われる「伝える力」も上達する素地ができます。相手に分かるように伝えるという意識が、正しい文法や的確な言葉を選ぶスキルにつながるためです。
念のため断っておきますが、私はSAPIXの回し者ではありません(笑)
ここで、一つ注意するポイントがあります。これは、私の経験になってしまいますが、まず間違いない事実になります。
それは、保護者が言葉に厳格である家庭の子どもは「伝える力」が高いことです。
これは一体、どういうことでしょうか。
例えば、こんなシーンがあったとしましょう。
父親と子どもが、文具店でこんな会話をしているとします。
父「このボールペンの使い心地はどうだい?」
子「いいね。これ書きやすい。やばいね。」
父「やばい、ではなく使い心地だよ。なめらかで気持ちいいとか、手が疲れないという表現を使うんだよ。」
おわかりでしょうか。
このようなシーンで、子どもの「やばい」を日常的になんの違和感もなくスルーしてしまう家庭では、正しい語彙力はつきません。
家庭の中で、「これ欲しい」「あれ取って」と言えばすべて言いたいことが通じてしまう母親、「うん」しか言わない父親……この環境の中で伝える力がつくでしょうか。
「塾に行って勉強しているから」という意見もあるかもしれませんが、これはまったくの別問題なのです。
言語能力というのは、遺伝による要素がほとんどありません。ほぼ家庭環境で決まります。つまり、国語が苦手だという子どもはその家庭環境の中に、国語が苦手になる要素が必ずあるのです。
もちろんこれは家庭批判ではありません。良くない要素を取り除き、きちんとした言葉が行き交うようにするだけで国語力というのは伸びるということを言いたいのです。
勉強というのは、子どもだけにやらせていてもきれいな伸び方をみせません。
家庭全体が学習に対して積極的な環境になってこそはじめて子どもの学習に効果があるのです。
壮大に話が逸れてしまいました。話を戻しましょう。
では、⑤言語教育にフォーカスしている読み聞かせである「ダイアロジックリーディング」の応用です。今回は、小学校高学年の子どもに対して行うやりとりについて具体例を用いて紹介いたします。
小学校高学年の子どもでも読める絵本はあります。
例えば、シェル・シルヴァスタイン作、村上春樹訳の「おおきな木」という絵本をご紹介します。
この本は、自分が犠牲になってでも人を思いやる無償の愛がテーマです。

とてもおおざっぱにあらすじを説明すると、少年と一本の木の物語です。
木は少年のことが大好き。
少年は木にいろいろなおねだりをします。
リンゴや、木登りする場所、船や家をつくるための木材……
木は少年の願いを叶えてあげ続け、やがて少年が老人になる頃には、ついに幹がなくなり切り株だけになっていく、というお話です。幼児期と親、青年期と親、成人と親という年代毎の捉え方があり、非常に深く考えさせられます。
もちろんこれは高い水準の愛情の話であり、小学生である子どもの心の琴線には触れにくい物語です。
しかし、そこが今回の重要なポイントになります。
どういうことかというと、子どもに「感情を教えて想像させる」ということです。
感情表現をあまり知らない子から感想を無理に聞き出すことはせず、「こういう考え方もあるんだよ」とさまざまな答えのうちのひとつを教えてあげて良いのです。

そうやってだんだん考える礎ができてくるのです。
では、実際に「おおきな木」をモデルに、ケーススタディを考えてみましょう。
ダイアロジックリーディングのケーススタディ
母「この本を読んで、どう思う?」
子「う~ん、よく分からない」
母「この少年は、ほしいものがあるときだけ木のそばに来るよね。それはどう思う?」
子「なんか……ずるい」
母「そうかもしれないね。でも、自分の気持ちに正直でもあるという見方もできるよ」
子「あ~なるほど」
母「木の方は、それでもうれしい気持ちになるって書いてあるよね。それについてはどう思う?」
子「う~ん、分からない」
母「少年を子ども、木を親として見たらどうだろう?」
子「あ!親が子を見守る気持ちだ!」
母「いい見方をするね。いろんな見方もできるよ」
子「う~ん……あ、先生と生徒とか」
母「おお、たしかにそういう視点も面白いかも。でも、どうしてそう思うの?」
子「だって、先生は生徒が巣立つのを見守るじゃん」
母「自分は何ももらっていないのに?」
子「あ、そうか……いや、自分も子どものときに先生にたくさんのものをもらったんじゃない?」
母「へぇ~、なるほどね。ちゃんと深く考えられたね」
子「へへ、まあね」
ここで大切なのは、「わからない」を連発されても「そうだよね」というおおらかな気持ちで、「こんな考え方もあるよ」と教えてあげることです。感情というのは、経験しなくともある程度想像できるものですから、どんどん教えてあげましょう。
そして、絶対に否定しないことです。
何を言っても肯定してあげることです。
肯定から安心が生まれ、安心から思考が生まれます。
子どもの方も気持ちが乗ってくれば、会話の後半のように思いも寄らない発想をすることがあります。
高学年でもダイアロジックリーディングは十分に通用します。
ぜひ意識してやってみてください。
次回は、「賢い子に育てる日常会話の仕方」について寄稿いたします。 楽しみにお待ちください😊
