「共生(きょうせい・ともいき)」の心を持った人間を育む
本校は1888年に設立された仏教精神に基づく情操教育を行う学校です。愛知県の中学受験においては男子校の最難関の一つになります。令和5年度には東京大学に38名、京都大学に25名、名古屋大学に68名が合格するなど、多くの生徒が難関大学に進んでいます。また、医学部医学科に合格する生徒数が全国1位を更新し続けていることでも有名な学校です。
高い学力だけでなく、謙虚さや感謝の心を持った、個性豊かな生徒が多い、多様性に溢れた学校という印象を私は持っています。実際に、「二度と帰って来ない一度限りの『今』を大切にし、他の命によって支えられ、生かされている自分を自覚し、共に生かし生かされ合う『共生(きょうせい・ともいき)』の心を持った人間に成長するための宗教教育」を行っています。
それでは、本題の入学試験分析に入ります。まず試験時間が国語60分、算数60分、社会50分、理科50分で、配点はそれぞれ100点です。以下に表を掲載します。
| 国語 | 算数 | 社会 | 理科 | 総合 | |
| 受験者平均点 | 51.9 | 45.5 | 74.4 | 55.9 | 227.7 |
| 受験者最高点 | 81 | 100 | 97 | 88 | 362 |
| 受験者最低点 | 7 | 0 | 7 | 13 | 58 |
| 合格者平均点 | 60.0 | 58.7 | 82.0 | 62.4 | 263.1 |
| 合格者最低点 | – | – | – | – | 237 |
論説文の傾向と対策
入試においては、予め出題方針が発表されています。国語については、以下のようになっています。
・日本語を正しく理解し、また表現できること
・言葉や態度から相手の心情を読みとれること。また、自分の素直な感情を言語化できること。
・社会的なことに興味関心を持ち、よく考え、自分の意見を持てること。さらに表現できること。
・多くの情報を決められた時間に正確に理解できること。さらに表現できること
(2024年度 「東海中学校各教科の出題方針と留意点」について)
論説文の傾向として、2つ大事なポイントがあります。
まず1つ目です。上記からもわかりますが、要求されるのは何よりも記述力です。毎年出題されており、傾向がはっきりしています。それは、「社会的な課題を自分ごととして捉え、身近な例として文章化する」です。2024年度の問題を見ますと、実感がわかなかった問題に想像力がはたらく実効性を持つ文学についての文章を読ませた後で、「あなたが読書を通して「実感をもって現実と向き合」うことになった経験を、八十字以内で説明しなさい」というものが出ています。しかも、
① 文章中の書物以外で書く
② 読んだ作品の題名を書く
③ 実感や共感を得た点を明らかにする
という条件がついています。確かに、時間をかければ書くこともできると思いますが、60分の中で長い文章を2つ読み、記号問題や抜き出し問題を答えて記述に取り組むとなると、相当な時間的制限があります。
ただ幸い、ほとんどの記号問題や抜き出し問題はそれほど難度が高くありません。文章の内容を正しく把握して、設問や選択肢と本文の照らし合わせが正確にできれば、あまり時間をかけずに解くことも可能です。ですから、記述対策として必要なものの一つは「記述にかける時間」です。いかに他の問題を早く終わらせて、記述に時間をかけられるか、ということですね。もう一つは、「日常的な具体→抽象の思考訓練」です。
国語の問題では、その学校が入学してほしい生徒像がとても分かりやすく読み取れます。本校は明らかに、「これはつまりこういうことだな」(抽象化)「具体的には(例えば)、こうだな」(具体化)という論理的思考を日常的にしている生徒に入学してほしいという学校側の思惑が見て取れます。
それならば、そういった訓練をつめば良いのです。まずは具体→抽象からです。いくつかの具体的な物事の共通点を見つけて、一言でまとめてみましょう。
例えば、youtubeやX、Instagram、TikTokの共通点はなんだろうか?これらは一言でまとめるとどういうものなんだろう?と考える、などです。慣れてくれば、その逆の、抽象→具体をやってみましょう。これは、親子間の会話ですぐできます。会話の中に「例えば何?」を入れれば良いのです。例えば、「寛大さ」という言葉に対して、「例えばどんなことをすると寛大と言えるかな?」という事です。このように、具体と抽象を行き来する思考は論理的思考につながります。
次に2つ目です。これは、過去の説明文に大まかに共通する内容です。それは、「批判的思考(クリティカルシンキング)を持つこと」です。一見、常識だと思われることに、思考のメスを入れて、実はこんな考え方ができるのではないか、という文章が本校には多いと感じます。こういった文章に慣れるためには、批判的思考を日常的にすれば良いのです。
批判的思考とは一体どんな思考でしょうか。
それは、「本当にそうなの?」と考えることです。「こういう風にも考えられるのでは?」という、いわゆる多角的な視点でものを見る思考です。これは、大学入試の小論文対策にもなります。1つの考え方に対し、賛成と反対の2つの考え方とその根拠を持つ、という訓練も論理的思考につながります。例えば、「死刑制度について」「オンライン授業について」、なんでも良いと思います。これも、親子間で「本当にそうなの?」を合言葉にしてみてください。
最後に今年の新傾向として、昨年は3000字程度の説明文1題だったものが、今年は2000字と600字程度のものが2題の出題となっています。内容も似ており、2題の説明文を読んで、その共通点や相違点を答える、というものです。これは、公立中高一貫校の適性検査(選抜試験のこと)でよく見られる傾向で、一つの事象に対して、多角的なものの見方ができるかどうかをはかる問題です。ただ、同じ分量の文章ではないので、読む側の負担としてはそこまで大きいものではありません。難度も高くないので、筆者の主張が抑えられていれば問題なく正解できます。
ここで大切なのは、「主張を掴む力=要約力」です。文章を簡潔にまとめる力がつくと、筆者の話の筋道を追うことができ確実に読解力が身につきます。当然、このような新傾向の問題にも戸惑うことなく対応ができるのです。当塾では、要約を重視した指導を行っていますので、要約ができるようになります。国語が苦手だったり、書くのが不得意だったりすると、要約に対して難しそうな印象を持たれるかもしれませんが、大丈夫です。いきなりうまくできる子はいません。訓練をすることで、徐々に上手になってきます。
指導は丁寧に様子を見ながら進めていきますのでご安心ください。
